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日本のe-Sports業界に足りないものとは

e-Sportsとは

最近はあちこちでe-Sportsという言葉を目にするようになりました。e-Sportsとはエレクトリック・スポーツの逆で、競技性の高いゲームの事です。例えば格闘ゲーム、FPS、RTS、MOBAなどが概要します。ただ、e-Sportsの定義はやや曖昧で、プロ競技として成立しているかどうかも重要だと考えます。日本ではやっと格闘ゲームがプロ競技として成立するようになってきました。ウメハラ、ときどなどの有名プレイヤーは海外の大会に積極的に参加し、賞金を獲得するだけでなく、きちんとスポンサーが付いています。ついにはプロゲーマー養成専門学校などが登場し、今後日本でe-Sportsがさらに発展することが期待されます。

世界ではe-Sportsがもっと進んでいる

e-Sportsの歴史は意外と古く、海外ではFPSが最初に盛り上がりました。Quake3ArenaというFPSの大会で優勝者にフェラーリがプレゼントされたことは伝説になっています。その後、CounterStrikeなどのチーム戦が流行し、e-Sports=FPSという時代もありました。

一方韓国ではStarCraftというRTSが大流行しました。StarCraftのプロゲーマーは韓国にしかいないと言われるほどレベルが高く、リーグ戦の模様がテレビで放送される人気ぶりでした。それも最近の話ではなく5年以上前のことです。日本では考えられない光景です。StarCraft2が発売されても人気が衰えることはなく、多くの韓国人がプロゲーマーを目指しています。小学生が将来なりたい職業の上位にプロゲーマーが入ることからも、人気・認知度が非常に高いことがわかります。

LoL vs Dota2!賞金総額は億単位に

e-Sportsの発展はとどまることを知りません。近年、MOBAと呼ばれるジャンルが世界的に流行しています。中でもLoLとDota2はプレイヤー数はどんどん増加していて、大会賞金も張り合っています。2014年に開催されたDota2の大会は賞金総額が約10億円になりました。もはやゲームと馬鹿にできる規模ではありません。e-Sportsがまさにプロスポーツとして成立しています。

LoLも負けてはいません。賞金総額5億円以上の大会を開催しています。賞金だけ見るとMOBAが業界の最先端を突き進んでいます。格闘ゲームは2015年にカプコンカップが開催され、賞金総額は5000万円です。十分すごい金額ですが、DOTA2やLoLを比較してしまうと、まだまだ規模の小ささを感じます。

日本のFPSはe-Sportsとして成立しにくい

では日本ではどうでしょうか。やっと格闘ゲームがe-Sportsだと認知されるようになってきたものの、FPSはそこまで人気ではないように思えます。プロチームとして活躍できているのはDeToNatorとDetonatioNくらいでしょう。DeToNatorはAVA、DetonatioNはBF4です。

AVAの場合、競技人口が少ないことが問題です。日本やアジアでは多少流行っていても、決して世界規模とは言えません。規模が小さいと視聴者も少なく、スポンサーが付きづらくなります。するとプロゲーマーとして生きていけるだけの賞金を獲得するのは難しいでしょう。その点、BF4はまだ可能性があります。世界中で人気のあるFPSですし、知名度も高いため世界各地で賞金付きの大会が開催されて、参加することができればe-Sportsとして発展するはずです。

ただ、Quake3Arenaは1vs1が主流でしたが、近年のFPSは5vs5のルールがほとんどです。すると渡航費がかさみます。5人分の旅費が必要になります。賞金も分配しなければならないため、FPSのプロゲーマーが全員生きているのはとてもハードルが高くなります。

またFPSの面白さがわかりにくい点も問題です。格闘ゲームの場合、1vs1なのでとてもわかりやすいです。RTSも前線は大抵1箇所ですからそこを見ていれば、流れを見ていればわかります。MOBAは5vs5ですが元々が見下し視点なのと、大勢がぶつかる場所がわかること、そして誰かが倒れるまで時間がかかること(体力が多いため押し引きで盛り上がれる)など、そのゲームを知らなくても実況と相まって面白さが伝わってきます。

ではFPSはどうでしょうか。前線がわかりやすくても体力が少ないため一瞬で決着が付きます。誰が3人抜きの活躍をするなんてわかりません。活躍しやすいスナイパーは後方にいることが多いので、ゲームを知らない人からすると退屈な視点です。リアルタイムだけの実況は難しいでしょうから、リプレイなどを駆使しないと盛り上がりに欠けてしまうでしょう。

もちろんFPSをe-Sportsとして発展させる動きは日本でも出てきています。多くの大会は秋葉原にあるe-Sports SQUAREで開催されます。ここにはリプレイ機能もあるため、実況・解説には最適です。一般プレイヤーが参入しやすいようにゲーミングPCのレビューをしているゲームPCバンクのようなサイトも登場しました。他にもいろいろな人が業界に支援しています。

動画勢の存在が欠かせない

もしもあなたがe-Sports業界の発展を望むなら、「見ること」が大切です。特にそのゲームをやっていない人が見ることがとても重要です。例えば野球やサッカーを考えてみてください。日本では代表的なプロ競技です。どちらも熱心なファンがたくさんいて、テレビや競技場で試合を観戦しています。彼らの多くは野球やサッカーをやったことがありません。でも貴重な時間を消費して見ています。

例えばe-Sportsの大会の動画を10万人見たとしましょう。すると「10万人見た」という実績が生まれます。大会運営者やゲーム運営会社は「10万人見る大会」としてスポンサーにアピールできます。次回大会の資金源を獲得できるかもしれません。日本のe-Sportsの動画では「動画勢」「エアプレイ」などと揶揄されていますが、動画勢こそがe-Sports業界の発展に欠かせません。

だからこそ大会を露出していくべきですし、プロゲーマーはどんどん生放送や動画配信をして、ファンを増やす努力をすべきです。今のところゲームさえ上手ければプロゲーマーとして生きていける状態ではありません。露出とファン獲得に頭を使う必要があります。